概要・解説『ソナチネ』大人の抱えるやるせなさを繊細に描いている?

制昨年    1993年         
制作国日本
監督北野武
主な出演者北野武
国舞亜矢
勝村正信
寺島進
大杉連
上映時間94分
総合評価7/10

作品概要

1993年制作の北野監督4作目の作品。

北野自身、「思い入れのある作品」、「一番うまくいったと思える作品」として本作を挙げていますが、興行収入は8,000万円と振るいませんでした。

ちなみに北野監督の1作目『その男凶暴につき』(1989)が7億8000万円、興行的に最も成功した『座頭市』(2003)が28億5000万円であったことからその数字の低さが分かります。

本作は公開後、1週間で打ち切りとなりますが北野ファンの間では最高傑作の呼び声高い作品です。

海外での評価も高く、ロンドン映画祭やカンヌ国際映画祭で上映されている他、BBCの「21世紀に残したい映画100本」に選ばれています。

キャスト

村川組の組員片桐を演じている大杉連ですが、本作は彼の知名度を上げた作品としても有名です。

これまで舞台を中心に活動していた大杉連ですが、映画界への進出を目指し『ソナチネ』のオーディションを受けました。

オーディションに遅刻した大杉でしたが、結果は合格。当初はセリフ一言の脇役でしたが、撮影中に北野監督に才能を見出され、脚本を書きなおし、役を大きくしたうえで主要キャストとなりました。

北野作品常連の大杉連ですが、この作品での演技が評価され、実力派俳優として活動の幅を広げていきます。彼はこの時既に40代でした。

その他にも中松組の幹部上地役に渡辺哲。組員の良二を勝村正信が演じてます。

又、村川の側近であるケンをこれまた北野作品常連の寺島進が演じています。

あらすじ

北島組組長の北島と幹部の高橋(矢島健一)は、友好組織の中松組が阿南組と抗争中であることから、傘下の村川組に援護として沖縄に行くよう要請します。

村川組組長の村川(北野武)は、北海道の抗争でも若衆を失っている事もあり、気乗りしない様子でしたが、北島組長の「すぐに手打ち(和解)で終わる」という言葉を信じ、部下を連れて沖縄に向かいます。

沖縄に着くと村川たちは阿南組からの銃撃や事務所の爆発といった過激な襲撃に遭い、結果多くの部下が命を奪わます。

抗争が想像以上に深刻な状況であった事から、村川は若い衆を東京に帰した後、片桐(大杉連)ケン(寺島進)ら側近と中松組の組員上地(渡部哲)良二(勝村政信)らと沖縄の片田舎の隠れ家に身を隠し、抗争が手打ちとなる事を待つ事にします。

隠れ家で暇を持て余す村上らは途中、海辺で強姦されかけていた(国舞亜矢)という女性と知り合いながらもゆったりとした時間を過ごします。

ソナチネ(1993) (1993) (imdb.com)

ロシアンルーレットや相撲、落とし穴、花火等、童心に戻ったような遊びで暇つぶしに興じる村川たちでしたが、そこに阿南組の殺し屋が忍び寄ります。

次々と仲間を失う中、村上は一連の騒動の裏にある事実を知る事になるのでした。

ネタバレあり 作品解説

抗争に仕組まれた事実とは?

すぐに手打ち(解決)となるとう北島組長の言葉を信じ、沖縄に遠征した村川組ですが、想像以上の抗争の激しさから、沖縄の田舎町に身を潜めます。

ある日、中松組長が村川たちの元を訪れ、北島組の幹部高橋が沖縄に来ており、中松組の解散を条件に阿南組との手打ちとする事を通告されたと報告します。

その直後に中松組長は始末され、釣り人に扮した阿南組のヒットマンが村川一派の元に忍び寄ります。

海辺でフリスビーで遊んでいたケンはヒットマンに額を撃ち抜かれ殺されてしまいます。

この一連の動きを不審に思った村川は幹部の高橋が滞在するホテルを訪れます。

ケンを殺したヒットマンをエレベーターでの銃撃戦の末に始末した後、村川は高橋を拉致します。

激しい拷問の末に高橋は口を割り、今回の騒動に隠された北島組長の思惑を口にします。

・北島組長は阿南組と仕事をしたがっていた

・友好関係のある中松組の存在が不都合となっていた→抗争に乗じて中松組を潰そうとしていた

・勢力を拡大する傘下の村川組を巻き込み壊滅させることでシマを巻き上げようとしていた

事実を知った村川は、阿南組との会合に沖縄を訪れていた北島組長をマシンガンで襲撃。阿南組もろとも皆殺しにするのでした。

ラストシーンの考察

襲撃後、隠れ家に戻ろうとした村川は車内で拳銃自殺します。

せっかく生還したのに、彼はなぜ自殺したのでしょうか。

物語序盤で村川は「疲れちゃった。ヤクザ辞めたいな」と側近のケンに漏らします。

自らの組を持ち、利益を上げている村川は組織の中でも幅を利かせています。

ヤクザとしてなかなかの勝ち組。成功を収めている側の人間です。

しかし同時に何か決定的な虚無感のようなものを抱えているように思えます。

物語中盤で村川は子分と弾のない拳銃でのロシアンルーレットに興じますが、その夜、村川はロシアンルーレットで実弾が自身の頭を撃ち抜く夢を見ます。

又、ラストシーンのマシンガンでの襲撃は、無勢に多勢、生き残るのが不思議な程の自殺行為です。

村川は死への願望を持ち、無意識的に死への歩みを進めていたと思われます。

感想 大人になっちまた人に共感できる作品テーマ

隠れ家に逃れた村川たちは、暇を持てあまし遊びに興じます。

それは相撲や花火の撃ち合い、落とし穴を作って誰かを落とすといったクソガキが夢中になりそうな内容です。

Sonatine Trailer – YouTube

極道をやっている大人がアロハシャツを着て、沖縄の青々とした空の下で遊びに興じる様は滑稽でありながらもとても楽し気です。

童心に帰った大人の夏休みといったところでしょうか。

途中で加わる幸の無邪気な存在感もこの童心への回帰感を押し上げています。

そんな夏休みはケンが額を撃ち抜かれるという悲劇と共に、一気に現実(極道の世界)へと引き戻されます。

大人になった人間に永遠の夏休みは訪れないといった事でしょうか。

本篇は極道物のバイオレンスでありながらも、大人の抱えるやるせない虚無感を繊細に描いた作品にも感じられました。

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