映画『ザ・ピーナッツバター・ファルコン』 ダウン症の青年と孤独な大人のロードムービー

制作年2019年
製作国アメリカ
監督タイラー・ニルソン
マイク・シュワルツ
主な出演者   シャイア・ラブーフ
ダコタ・ジョンソン
ザック・ゴッツァーゲン  
上映時間97分
総合評価7/10

1.作品概要

実際にダウン症候群である俳優のザック・ ゴッツァーゲンの「映画スターになりたい!」という一声から始まった企画。

アメリカでは17館の上映でスタートした本作ですが、6週目には1,490館まで拡大公開される異例のヒットを記録しました。

マーク・トウェイン原作の「ハックルベリー・フィンの冒険」を下敷きにした感動のロードムービー「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」を紹介します。

2.登場人物/キャスト

タイラー/シャイア・ラブーフ


THE PEANUT BUTTER FALCON Trailer (2019) – YouTube

孤独な漁師タイラーを演じたのはお騒がせ俳優のシャイア・ラブーフ。

『トランスフォーマー』シリーズや『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008)等への出演で知られる。


エレノア/ダコタ・ジョンソン

THE PEANUT BUTTER FALCON Trailer (2019) – YouTube

看護師のエレノアを演じたのはダコタ・ジョンソン。

俳優のドン・ジョンソンとメラニー・グリフィスの娘として知られる。

1977年のダリオ・アルジェントのホラー『サスペリア 』のリメイク作品や、大富豪と性的主従関係を結ぶ女子大生を演じた官能作『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』シリーズで有名。


ザック/ ザック・ ゴッツァーゲン

The Peanut Butter Falcon (2019) (imdb.com)

ダウン症の青年ザックを演じた。

撮影では脚本通りに動かない事も少なくなかったそうだが、本作で彼は俳優としとしての夢をかなえる形になった。

3.あらすじ

施設を脱走したダウン症の青年

施設で暮らすダウン症の青年ザックはプロレスラーになる事を夢見てプロレス録画ビデオを繰り返し鑑賞していました。

そんな彼の憧れは悪役レスラーのソルトウォーター・レッドネック。

THE PEANUT BUTTER FALCON Trailer (2019) – YouTube

「彼の運営するプロレス養成所に行きプロレスラーになる!」そう考えたザックは一念発起し施設を脱走します。

彼に会い夢を叶えたい一心で町を彷徨うザックは入り江が広がる港に辿り着きます。そこで彼は人の気配を感じ、咄嗟に小型ボートに身を隠すのでした。

逃亡する孤独な漁師タイラー

しっかり者の兄を亡くし自暴自棄になっていたカニ漁師のタイラー。

彼はダンカンという男の漁のカゴを盗んだとして職場をクビになり、ダンカンとその相棒のラットボーイにボコボコにされた挙句、死んだ兄を罵倒されます。

彼は腹いせにダンカンの残りのカゴに火を放ちますが、その悪事はすぐにダンカン達に発見されてしまいます。

入江を逃げ込みなんとか2人を巻いたタイラーはボートの中に潜んでいたパンツ一丁のザックを発見するのでした。

後に彼は、燃やしたカゴの火が拡大し港を全焼させた大火事に発展したという事実を知ります。

追われる身となったタイラーとザックの不思議な逃避行が始まるのでした。

THE PEANUT BUTTER FALCON Trailer (2019) – YouTube

ザックを探す施設の看護師エレノア

大卒のエレノアは施設でザックの面倒を見ている看護師です。

ザックが一度脱走未遂を犯した際はザックを強く叱りましたが、思いやりのある彼女はザックからも好かれていました。

しかしある日、ザックは本当に施設から脱走してしまいます。

THE PEANUT BUTTER FALCON Trailer (2019) – YouTube

彼女は上司から激しい叱責に遭いザックを探すように命じられるのでした。

タイラーとザックを発見した彼女は彼を施設に連れ戻しタイラーを警察に突き出そうとしますが、自由な冒険を楽しみ、笑顔をみせるザックをみて冒険に参加します。

タイラー曰く、”幸せしか知らないお嬢様”風なエレノアですが、実は夫と死別した過去を抱えているのでした。


こんなタイプの異なる3人がザックの「プロレスラーになる」という夢を叶えるため、養成所を目指し旅をするロードムービー。

管理され生きてきたダウン症の青年が初めて謳歌する自由。

旅を通じて心が救われていくタイラーとエレノアを描く本作では刺激的でありながらハートウォーミングな世界観が描かれています。

4.感想

アウトロー気味の漁師。ダウン症の青年。大卒の看護師が旅をするのですが、彼らのバックグラウンドや性格は全く異なっています。

しかし、彼らには”孤独を抱えている”という共通点があり、お互いがそんな自分に向き合いながら絆を深めていくストーリーには心を打たれました。

タイラーとザックの男同士の友情が素晴らしかったですね。

特に砂浜で寝転がるタイラーとザックの以下の会話が印象的でした。

ザック:「俺は悪玉のプロレスラーになるんだ」

タイラー:「なぜ悪玉なんだ?」

ザック:「親に捨てられたから」

タイラー「良い奴も捨てられる。お前は悪くない。人間の善悪は魂で決まる。お前は悪玉じゃなくヒーローだ」

中略―。

ザック:「タイラー、君は善玉?悪玉?」

タイラー:「さぁな」

ザック:「君は善玉(Good Guy)さ」

―『The Peanut Butter Falcon』本篇より

このシーンでザックとタイラーが抱えていた自分への嫌悪感や孤独が薄れ、2人の絆が深まったように感じます。

旅の果てに辿り着いたプロレス養成所は既に閉店しており、落ちぶれ気味のソルトウォーター・レッドネックが登場します。彼は落ち込む3人を見て、当時のコスチュームに着替え即席でプロレス講義を行うなど、作品全体に優しい世界が広がっていました。

最後は3人が本当の家族になり、フロリダを目指す展開はちょっとやり過ぎ感もありましたが、これが本作の世界観なのです。

優しい気持ちに浸れる良作でした。

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