映画『オールド・ボーイ』あらすじ・解説

制作年2003年
制作国韓国
監督パク・チャヌク
主な出演者 チェ・ミンシク
ユ・ジテ
カン・へジョン
上映時間120分
総合評価9/10

概要

韓国映画界の巨匠、パク・チャヌク監督作品。本作は同監督の『復讐者に憐れみを』(2002)、『親切なクムジャさん』(2005)と合わせ“復讐3部作”の一つとされています。

本作は韓国映画史上初のカンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞。あのクエンティン・タランティーノも絶賛する等、国際的に高い評価を受け、2013年にはスパイク・リー監督、ジョシュ・ブローリン主演でハリウッドでリメイクされました。

巨匠パク・チャヌク監督

ポン・ジュノと並ぶ韓国映画界を代表する映画監督。

前述した”復讐三部作”や『サイボーグでも大丈夫』(2006)、『渇き』(2009)、『イノセント・ガーデン』(2013)の”人間でない存在の三部作”等の作品で知らています。

『イノセント・ガーデン』ではミア・ワシコウスカやニコール・キッドマンを迎えハリウッド進出を果たしています。

2016年のエロティックサイコスリラーの『お嬢さん』では英国アカデミー賞最優秀外国語作品賞を獲得。

原作は日本のコミック

オールド・ボーイ 1 (アクションコミックス) | 土屋 ガロン |本 | 通販 | Amazon

本作は1996年から1998年に『漫画アクション』に連載された土屋ガロン(作)、嶺岸信明(画)のコミック『ルーズ戦記 オールドボーイ』を原作としています。

尚、原作は主人公が監禁されている状態からスタートしており、監禁期間も異なり、娘も登場しない等、多くの相違点があります。

登場人物/キャスト

オ・デス/チェ・ミンシク

Oldboy – Trailer [HD] – YouTube

自分が15年監禁されていた理由を知るため、そして復讐のため奔走する本作の主人公。

演じたのは韓国を代表する俳優であるチェ・ミンシク

『シュリ』(1996)で韓国のアカデミー賞にあたる大鐘賞で主演男優賞を獲得。『ブラザーフッド』(2004)や『バトル・オーシャン 海上決戦』の他、スカーレット・ヨハンソン主演の『LUCY/ルーシー』(2014)といった海外作品にも出演している。


イ・ウジン/ユ・ジテ

Oldboy – Trailer [HD] – YouTube

デスを監禁した黒幕。物語終盤ではその”異常”ともいえる監禁理由が明るみになる。

『親切なクムジャさん』(2005)や佐藤浩市主演の日本映画『人類資金』(2013)にも出演しているユ・ジテが演じた。


ミド/カン・ヘジョン

Oldboy (2003) (imdb.com)

監禁から解放されたデスを世話し何かと協力する少女として登場。デスと恋に落ちるがその正体は…

演じたカン・へジョンはオーディションで300人の中から選ばれ、本作の重要な役どころであるミドの座を射止めた。

『トンマッコルへようこそ』(2005)では大鐘賞主演女優賞を獲得している。

あらすじ

監禁された平凡な男

妻子を持ち平凡ながら幸せな生活を送るサラリーマンのオ・デス( チェ・ミンシク )は何者かに誘拐されホテルの一室のような部屋に監禁されてしまいます。

テレビやベッドが置かれた無機質な部屋と毎日出される決まった食事。デスは自分が監禁されている理由もその期間も皆目見当つかぬまま長い年月を過ごします。そしてテレビから流れるニュースで自分が妻殺しの犯人に仕立て上げられている事を知ります。

Oldboy (2003) (imdb.com)

一時は自殺する事も考えたデスですが、次第に自分を監禁した者に対する復讐心が芽生え、それを糧に室内でトレーニングを積み、少しづつ壁に穴を掘り始めます。

15年が経ったある日、彼はいよいよ脱出計画を実行しようとしますが、突如解放されるのでした。


解放されたデスは復讐心を胸に自分を監禁した相手とその理由を探ろうとします。

街を彷徨うデスは近づいてきた浮浪者から携帯電話と大金を渡されます。その金で日本料理屋に入った彼は「生きているものが食べたい」と板前の女性に注文をします。

すると携帯が鳴ります。相手は監禁の首謀者のようで彼が監禁され解放された事には何か深い意味がある事を示唆します。

デスの前には板前から生ダコが出され、彼はそれに貪り食いつくし気を失うのでした。

板前の女はデスを家に連れ帰り介抱します。そして彼の監禁の理由を知り、黒幕を突き止めるため協力する事になります。

Oldboy (2003) (imdb.com)

デスは自分より何十歳も若いこのミドという女性と失われた15年の真相を暴こうとします。

黒幕の正体とは

デスは監禁中に毎食出されていた”揚げ餃子”の味から中華料理店を特定します。そしてデリバリーの配達人の後を付け、その配達先(=監禁場所)を突き止めます。

そこはビルの7階と8階の間「7.5階」にあり、多くの人物を監禁する監禁ビジネスが行われていました。

Oldboy (2003) (imdb.com)

デスはオーナーであるパクを捕らえ、歯を1本1本抜き拷問。黒幕を吐かせようとしますが情報を得られません。その代わり自分の監禁に関わる情報が録音されたテープを入手します。

部屋を出ると大勢のパクの部下が待ち構えており一斉にデスに殴りかかりますが、監禁中に鍛えまくっていたデスはチンピラたちを次々となぎ倒しビルを脱出するのでした。

持ち帰ったテープを聴くと「口数が多い」との理由で自分が監禁されていたという事が分かります。

その後、インターネットカフェを営む旧友のジュファンと再会し、ミドにチャットでコンタクトをとっていた怪しい”エバーグリーン”というIDの男を割り出して特定します。

デスが特定先の住所に駆け付けると、そこには黒幕とその護衛の男が立っていました。デスは彼を拷問し殺そうとしますが「自分を殺せば、15年間も監禁されていた理由が分からないぞ」と言われ、ためらいます。

Oldboy (2003) (imdb.com)

するとミドの悲鳴が聞こえます。部屋に戻るとミドはパク達に半裸にされた状態で拘束されていました。パクは歯を抜かれた復讐をしに来ていたのでした。

パクは自分がされた事と同じようにデスの歯を抜こうとしますが、黒幕の手下がその場にやって来てパクに大金を渡し彼に立ち去るように指示。デスは事なきを得るのでした。

愛し合うデスとミド

その後、お互い惹かれ合っている事に気づいたデスとミドは場所を移して激しく肉体を重ねます。

情事が済むと部屋にガスが充満し二人は気を失います。そこにガスマスクを付けた黒幕が入室し気を失っている二人を意味ありげに眺めるのでした。

目を覚ますとリボンのついた箱があり、中には切断されたパクの手が入っていました。

デスは自分たちが黒幕に盗聴され尾行されていた事に気が付きます。

明るみとなる黒幕の目的

二人は再びジュファンのネットカフェを訪れ”エバーグリーン”について調べます。すると「サンノク高校同窓会」のホームページがヒットしました。それはデスとジョファンが在学していた高校でした。

デスは学校を訪れ記録簿から自分を監禁した黒幕を「イ・ウジン」であると特定します。

記録を調べる中でイ・スアという同級生が在学中に亡くなっていた事を知ります。

デスはイ・スアについて思い出す事が出来ず、ジュファンに電話し尋ねます。彼は彼女を「あいつはとんだアバズレで誰とでも寝てた奴だ」と言います。

近場でその話を聞いていたイ・ウジンは「俺の姉はそんな女じゃない!!」と激高しジュファンを刺し殺します。

そしてウジンは電話口のデスに向かって「お前が盗聴器を外したからこいつを張っていた。友達はお前のせいで死んだんだ」と言い放ちます。


そしてデスはイ・スアについての昔の記憶を思い出すのでした。

転校する事が決まっていたデスは サンノク高校での最終日、学校内の理科室でスアとウジンが姉弟同士で愛し合っている姿を目撃します。

デスはその事を友達のジュファンにだけ話しますが、口の軽いジュファンはその事を言いふらしていました。そして話は誇張され、いつしかスアは妊娠しているという噂が学校中で広まったのです。

それを苦にしたスアは弟ウジンの前で入水自殺をします。

「お前が姉との情事を目撃した事が原因で姉は死ぬことになった」。そんな逆恨みに近い理由でデスは15年間監禁されていたのでした。

黒幕に復讐を誓っていたデスは、自分がウジンの復讐の対象になっていた事を悟ります。

しかし、ウジンの復讐はこれだけで終わりませんでした。

復讐劇を巡る衝撃の事実とは

デスはウジンのいるペントハウスを突き止めます。

そこでウジンは衝撃の事実を語るのでした。

デスは解放される前、催眠術をかけられていました。そしてミドも同様に催眠術をかけられており、二人が出会い愛し合うように仕向けれれていたのです。

ウジンはデスにリボンのついた箱を差し出します。中にはアルバムがあり、デスの娘であるヨニの幼い頃の写真が収められていました。ページをめくる度に成長していくヨニの姿から次第に既視感が生まれてきます。そしてヨニが大人になった写真はミドそのものなのでした。

デスは知らずの内に15年離れて暮らしていた娘と近親相姦をしていたのでした。これこそがウジンの復讐だったのです。

デスは発狂しウジンを殺しにかかりますが、ミドの元にも同様にリボン付きの箱がパクにより届けられていました。中身はデスが実の父である事を示すものが入っている事が容易に想像できます。

デスは「なんでもするからミドにだけは真相を伝えないでくれ!ウジン、ウジンさん!俺が悪かった!あなたの犬になるからお願いです!!」と跪き、ウジンの靴を舐め、最後は自分の舌を切り落とし許しを請います。

Oldboy (2003) (imdb.com)

ウジンはほくそ笑み、「箱を開けないであげてください」とパクに命令し、デスとウジンが愛し合っている盗聴テープを流しながらその場を後にします。部屋にはデスの嗚咽が響き渡ります。

エレベータに乗ったウジンは”復讐”という目的を失った虚無感に襲われます。そして愛した姉のスアが死んだ日の事を思い出しながら拳銃で自殺するのでした。

Oldboy (2003) (imdb.com)

ラストシーン

時が経ち、デスは自分に催眠術をかけた女を訪ねます。そして娘を巡る忌まわしい記憶を抹消してほしいと依頼します。

雪山で催眠術をかけられるデス。女は「秘密を知らないオ・デス」と「秘密を知っているモンスター」の二人の人間がデスの中に存在する事を示し、一方は一歩歩く度に年を取り、70歳で安らかに死ぬと言いました。

デスが雪山を歩いてると「ずいぶんやつれたね、おじさん」と言いながらミドが近づいて来ます。

ミドはデスを抱きしめ「愛してる」と呟きます。デスは笑顔と涙が入り混じった表情を浮かべ、ミドを抱きしめるのでした。

Oldboy (2003) (imdb.com)

この時彼は 「秘密を知らないオ・デス」 に戻れていたのでしょうか。今後デスはミドを娘として、それとも女として愛していくのでしょうか。真相は濁されたまま物語は幕を閉じるのでした。

感想 ラストシーンの解釈とは

拷問、殺人。更に近親相姦というタブーまでをも描いた想像以上のエグさのある作品でした。

「監禁された男」と「姉の死を逆恨みする男」、両者の復讐劇が交差しながら展開する物語からは一時も目が離せません。15年間を奪われた男の復讐心をも凌駕するウジンの恨み。デスに娘を肉体的に愛させるという鬼畜な復讐方法には狂気を感じずにはいられませんでした。

それにしてもオ・デス役の チェ・ミンシクの演技が見事でしたね。

酔っぱらって警察のお世話になる冒頭シーンでは「何だこのだらしないおっさんは」という印象でしたが、監禁中の発狂を経て復讐心を抱いていく過程で目つきがガラリと変わる様は異なる俳優が演じているような印象を受けました。

自分が監禁された真相を追う彼はハードボイルドそのものでしたが、ミドが自分の娘と知り精神崩壊してウジンにひれ伏す様。そして最終的に自らの舌を切り落とす程に恐怖に憑りつかれた演技は神憑っていました。

最後の解釈は視聴者に委ねられます。救いのあるラストと解釈する方も多いようですが、個人的には残酷なラストだと解釈しています。

デスの記憶がどこまで消えたかにより解釈は変わると思うのですが、彼の表情から私はこの2パターンを想像しました。

【1】ミドが娘であるという記憶が消えた

【2】ミドが娘であると認識する記憶は残ったが、彼女を肉体的に愛したという記憶は消えた

【1】の場合、その後も娘であるミドを女として愛していく事となります。これはこれでなかなかエグい結末です。

【2】はハッピー結末のように思えますが、ミドがデスを父としてではなく男として愛している事に変わりはありません。個人的には【2】で解釈していますが、デスは事実をミドに伝える事も、彼女を女として愛する事も出来ないでしょうから、静かに彼女の元から姿を消す事しかできなくなると思います。

まぁ解釈は人それぞれで正解なんてありませんけどね。

最期ぐらい幸せになってほしいと願いましたが、これはそんな生半可な映画ではないんだろうなと思いました。

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