感想『その男、凶暴につき』 乾いた暴力とたけしの色気がさく裂していた

制作年   1989年       
制作国日本
監督北野武
主な出演者北野武
白竜
川上麻衣子
佐野史郎
岸部一徳
上映時間103分
総合評価A

あらすじ(以下ネタバレあり)

捜査ために暴力行為を繰り返す刑事、吾妻(あづま/ビートたけし)。

その男凶暴につき 予告編  1989 Takeshi Kitano – YouTube

その狂暴性と協調性の欠如のため職場で孤立した存在であるが、別部署の岩城(平泉成)という男だけは唯一、吾妻に親しく接していました。

そんな吾妻には精神障害で入院している あかり(川上麻衣子)という妹がおります。

彼女の退院の日に病院に迎えに行く吾妻は彼女にせがまれ、お祭りの出店を連れまわされる事になります。吾妻という男の人間味が垣間見れる場面です。

ある日、麻薬密売人の男が死体で発見されます。

本件の捜査を菊地(芦川誠)という新人刑事と行う事となった吾妻は、相変わらずの暴力捜査で事件の核心へと迫っていきますが、捜査線上で署内で唯一親交のある岩城が薬を組織に横流しにしているという情報を得ます。

署内で岩城の身辺捜査が始まって間もなく、彼は首吊り死体で発見されます。

岩城の死が他殺である事を確信した吾妻は闇の実業家 仁藤(岸部一徳)の裏で働く清弘(白竜)という殺し屋の仕業である事を突き止めます。

吾妻は清弘を虚偽の罪ででっち上げ、署内に連行すると怒り任せに清弘に暴行を加えます。

清弘に銃口を突きつける吾妻。今にも彼を殺しそうな吾妻ですが、同僚の静止を受け思いとどまります。

しかしこの行為は警察内で問題視され、とうとう刑事を首になります。

刑事という身分でなくなった吾妻は秘密裏に銃を仕入れ、清弘を殺し岩城の仇をとる事を誓います。

先ずは黒幕の仁藤を殺した吾妻は、単身で清弘のアジトに乗り込みます。

そこには清弘の子分に拉致され、ヤク漬けにされた挙句輪姦されていた妹あかりがいました。

タイマンの銃撃戦の末、数発の弾丸を受けながら清弘を殺害した吾妻。

すると清弘の死体をまさぐりながら、必死に薬を探している妹のあかりが目に入ります。

薬物中毒者となり変わり果てた妹を射殺し出口に向け歩き出した吾妻ですが、現場にやってきた仁藤の側近に撃たれ絶命するのでした。

『その男、凶暴につき』 魅力と感想

作品を彩る乾いた暴力

バイオレンス・スプラッターものにも多少の耐性はあるのですが、普段洋画しか観ないせいか北野映画の乾いた暴力性は「とんでもないヤバいもの」を見せられているような独自の感覚に襲われました。

・近所の子どもたちが見つめる中、刑事の頭に金属バットをフルスイングする逃亡犯

・その逃亡犯を車で轢いたうえでさらに暴行を加える吾妻

・クラブのトイレで薬の売人に数十発のビンタを浴びせながら尋問する吾妻

・夜道で吾妻を襲う清弘

この辺りの描写は正直かなり恐ろしく、グロテスクな場面もあります。

しかし、何か作品に引き込まれる不思議な魅力があります。

アンチヒーローとしての吾妻 結局は全員悪?

アウトレイジのキャッチコピーが「登場人物、全員悪人」であったが、本作にも正義は存在しないと思いました。

警察という正義に身を置く吾妻ですが、その言動は正義とはかけ離れたものです。

冒頭で非行少年の家に上がり込み、暴行を加え自首を促す場面や捜査線上の数々の法律違反や暴力行為。

刑事の職を辞した後は、岩城の仇のために清弘を追い、殺人も躊躇なく行う吾妻はまさにアウトローなアンチヒーロー像を体現しています。

本作の最終決戦の相手となる殺し屋の清弘はその残忍性を十分に発揮しながら躊躇なく殺人を行います。吾妻を狙い誤って一般人を射殺しますが、顔色一つ変えず吾妻を追い続ける様は狂気に満ちていますね。

「刑事VS殺し屋」という構図ではあるのですが、この戦いは「悪VS悪」なんだと思います。(そもそも吾妻が仇とする岩城も組織に薬を横流しにしていた悪)

又、吾妻とコンビを組んでいた新人刑事の菊地がラストシーンで岩城の後釜として組織に仕える描写があります。気の弱そうな若者の菊地が最終的に悪に染まっていくのもおもしろいですね。

それにしてもこの時代のビートたけし、めちゃくちゃ色気ありますねぇ。

脇役が豪華すぎる

清弘との麻薬の取引中に「欲を出した」として殺害された売人。

吾妻と菊地がこの死体の発見を基に捜査を開始しますが、この売人を遠藤憲一が演じています。

又、清弘の手下の内、あかりを輪姦する織田を寺島進(右)が、植田を小沢一義(中央)が演じています。

紺作品の後、北野映画の常連となる寺島進ですが、なんとも言えない存在感を放っています。

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