あらすじ・感想『ヒドゥン』80年代SFホラーの傑作

制昨年1987年
制作国アメリカ
監督ジャック・ショルダー
主な出演者カイル・マクミラン
マイケル・ヌーリー
上映時間100分
総合評価9/10

80年代のSFホラーアクションの傑作。刑事のバディムービーとしても秀逸。

映画評論家の淀川長治は本作を高く評価しており、日曜洋画劇場でも何度か放送されました。

アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭(※1)で同年公開された『ロボコップ』を押しのけグランプリを受賞しています。

アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭とは

フランスで主催されていたファンタジー、SF、オカルト、サスペンス・ホラーに特化した映画祭。

1973年に初回が開催されており、その際はスティーブン・スピルバーグの『激突!』がグランプリを受賞しました。受賞項目には「恐怖映画賞」や「SFX賞」、「ヒッチコック・サスペンス映画賞」、「ダリオ・アルジェント賞」、「心臓に一撃賞」等があります。

1994年にその役割はジェラルメ国際ファンタスティカ映画祭が引き継がれました。

キャスト

カイル・マクミラン

本作で謎多きFBI捜査官ロイドを演じているカイル・マクミラン

ヒドゥン(1988) (1987) (imdb.com)

『デューン/砂の惑星』『ブルーベルベッド』、TVドラマ『ツイン・ピークス』等、デヴィッド・リンチ作品の常連。

ラジー賞13部門にノミネートされ、米タイム誌が選ぶ「性描写は多いがセクシーじゃない映画トップ10」にも選ばれたポール・バーホーベン監督の伝説的?映画『ショーガール』にも出演しています。

マイケル・ヌーリー

本作の主役であるロス市警のたたき上げの警察官ベックを演じています。

ヒドゥン(1988) (1987) (imdb.com)

1983年の傑作『フラッシュダンス』への出演で有名。

その他、『ターミナル』『チョコレートドーナッツ』にも出演している。

>次ページの【あらすじ】にはネタバレを含みます

あらすじ(以下ネタバレあり)

銀行強盗の発生

白昼堂々の銀行強盗が発生。犯人は警備員を射殺した後、高級車で逃亡します。

犯人が無謀運転で何人もの犠牲者を出しながら逃亡を続けた犯人ですが、最終的には応援に駆け付けた警官隊に囲まれ立ち往生。無数の銃弾を受けるのでした。

しかし彼は絶命に至らず、瀕死の状態で病院へ運ばれるのであった。

意外な犯人像と深まる謎

入院先で今夜にでも息を引き取りそうな犯人。

彼はこれといった前科もなく、これまで真面目に生活を送っていた平凡な男である事が判明。

そんな男がここ2週間で殺人等の凶悪事件を繰り返していたのでした。

事件を担当したトム・ベック刑事は不可解な点は多いが、犯人の死でとりあえず事件は解決すると考えていました。

しかし瀕死の犯人は病室で突如、意識を取り戻します。

そして同室で入院しているミラーという患者に覆いかぶさり、口からなめくじのような巨大な生物を吐き出し寄生させたうえで絶命するのでした。

ミラーは危篤状態の患者でしたが、意識を取り戻し街に繰り出します。

善人だった彼は、レコード店や高級車ディーラーで強盗殺人事件を起こすのでした。

このなめくじのような異星人は人の身体を乗っ取り、凶悪事件を繰り返していたのでした。

頻発する殺人に苛立つベック刑事の下にロイドというFBI捜査官がやってきて、一緒に捜査を行う事になります。

The Hidden (1987) Official Trailer – Kyle MacLachlan, Michael Nouri Alien Crime Movie HD – YouTube

この事件の黒幕が同一の異星人である事を知ってた彼でしたが、その事はベック刑事には黙っていました。

次々と姿を変える異星人

異星人はミラーの身体に限界を感じると、次はストリッパーのブレンダに寄生します。

初めて若い女性に寄生したのか、異星人はその身体に興味津々です。

ナンパ男を殺害し奪った車で逃走するブレンダですが、ベックとロイドに追われ、マネキン工場にて壮絶な銃撃戦を繰り広げます。

何発もの銃弾を浴びせられたブレンダは、ロイドに因縁じみた言葉を言い残しビルの屋上から身を投げるのでした。

「誰も近づけるな!」と鬼気迫る表情でブレンダの死体に駆け寄るロイド。

しかし異星人は現場で警部補が連れていた犬に寄生し、既にその場から離れていたのでした。

頻発する殺人と15発も銃弾を撃ち込んだブレンダが死ななかった事でベックは取り乱します。

そして何か知っているようなロイドに「真実を話せ」と問い詰めます。

明かされるロイドの正体

「答えられない」の一点張りのロイドをベックは逮捕してしまいます。

署でロイドの事を調べたベックはある事実を知ります。

FBI捜査官のロイド・ギヤラガーはシアトルの山火事で既に死んでいたのでした。

ベックの激しい尋問を受けたロイドは、「異星人が善良な人間に寄生し事件を起こしている事」、「自分もまたアルタリア星出身の異星人であり、なめくじの異星人を9年間追っている」という事を白状します。

精神錯乱と判断された彼は再び収監されてしまうのでした。

そして決着へ

後日、愛犬経由で異星人に寄生された警部補が署を襲います。

その際に異星人が発した言葉によりロイドを信じる事にしたベック。

収監されたロイドを開放し、異星人と戦うのでした。

銃撃戦の末、ぼろぼろになった警部補の身体を捨てた異星人はクリフという刑事の身体を乗っ取ります。

クリフに寄生した異星人は大統領候補の警護のため講演会場に向かいます。

講演会場にて二人は異星人を追い詰めますが、ベックは腹部に銃弾を受け瀕死の重傷を負います。

そして異星人は大統領候補に寄生しその場を逃れるのでした。

朦朧とした意識の中で「奴を倒したか?」とベックは問います。

「あぁ倒したよ」と嘘をつくロイドですが、彼の表情は何か決意を感じるものがあります。

ロイドは厳重な警備を強行突破し、セキュリティーの銃弾を浴びながら、講演を行う異星人(大統領候補)に火炎放射器を放ちます。

ヒドゥン(1988) (1987) (imdb.com)

たまらず飛び出した異星人を抹殺したロイドはようやく決着をつけるのでした。

重傷を負い、病院のベッドで息を引き取りそうなベック。彼の家族は悲しみに暮れています。

同じ病院に入院していたロイドは彼の眠る部屋を訪れます。

彼の前でついに息を引き取ったベックにロイドは顔を近づけ、黄金色の霧を口から吐き出します。

そしてロイドはその場で絶命するのでした。

感想 本作がSF映画の傑作である理由

異星人に寄生された人々が魅力的すぎる

最初に異星人に寄生されたジャック・デヴリーズ。

身なりが良く紳士風の男が躊躇なく人を殺め、ヘヴィメタルを聴きながらフェラーリで暴走する様は異様な雰囲気があります。この冒頭シーンで一気に作品に引き込まれます。

The Hidden (1987) Official Trailer – Kyle MacLachlan, Michael Nouri Alien Crime Movie HD – YouTube

次に寄生されるジョナサン・ミラーもまた、非常に魅力的な不気味さがあります。

レコードショップでカセットテープで万引きし、店員を撲殺。

マナーという概念がないのか、盗んだラジカセでヘヴィメタルを爆音でかけ、レストランで食事をとる様子。

異星人の嗜好なのか、フェラーリに固執し殺人を犯す様も恐怖心を煽ります。

The Hidden (1987) Official Trailer – Kyle MacLachlan, Michael Nouri Alien Crime Movie HD – YouTube

ロイド役のカイル・マクラクランが魅力的すぎる

男から見てもハンサムさが半端ないカイル・マクラクラン。

ヒドゥン(1988) (1987) (imdb.com)

生真面目でエリート風な装いに反し、時折、常識の欠如を露呈するロイドには危なげなミステリアスさを感じます。

本作のロイド・ギャラガー像を高く評価したデイビッド・リンチがマクラクランを『ツインピークス』に抜擢したのは有名な話です。

バディムービーとしても魅力的すぎる

本作はSF映画ですが、刑事のバディムービーとしても秀逸です。

最初はロイドを毛嫌いするベックですが、家族との食事に誘ったりと次第に彼を認めていきます。

ロイドもまた当初は感情を見せなかったのですが、彼が撃たれた際は顔をうずめ悲しむ等、二人の間に信頼関係が構築されていたことが伺えますね。

ワイルドなたたき上げ系とインテリのエリート系という対局な見た目も良いですね。

最後は何とも言えない後味を残す

病床で息を引き取ったベックに黄金の息を吐き、絶命したロイド。

ベックは目を覚まし、家族と抱き合うのでした。

しかし彼の幼い娘だけは、かつて自宅でロイドに向けた何か異形なものを見るような目で父親のベックを見つめるのでした。

ロイドはベックの身体に宿り、人間として生きていく事を決めたのでした。

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