あらすじ・解説『her/世界でひとつの彼女』声フェチに送るsiriとの恋物語?!

制昨年    2013年
制作国アメリカ
監督スパイク・ジョーンズ    
主な出演者ホアキン・フェニックス
エイミー・アダムス
ルーニー・マーラ
クリス・プラット
上映時間120分
総合評価8/10

監督・キャスト

スパイク・ジョーンズ(監督)

元はCMディレクター、ミュージックビデオの監督、俳優としても活動していたが、初映画監督作品の『マルコヴィッチの穴』(1999)で絶賛を受ける。

その後もニコラス・ケイジ主演の『アダプテーション』(2003)、ベストセラー絵本を実写化した『かいじゅうたちのいるところ』(2010)で監督を務めている。

尚、本作ではセオドアがプレイするゲームのエイリアンチャイルドの声役で出演している。

ホアキン・フェニックス

数々の賞を受賞している個性派・実力派俳優。

兄は早逝した伝説の俳優リバー・フェニックス

リドリー・スコット監督の『グラディエーター』(2000)や『ヴィレッジ』(2004)等、数多くの作品に出演している。

近年では『ジョーカー』(2019)でみせた圧倒的な演技が話題になりました。

本作ではOSという実在しない女性に恋をする主人公のセオドアを演じています。

Her Official Trailer #1 (2013) – Joaquin Phoenix, Scarlett Johansson Movie HD – YouTube

尚、作中ではルーニー・マーラ演じるキャサリンと離婚しますが、現実世界では2016年から二人は交際を始め、2020年には子どもが誕生しています。

ルーニー・マーラ

『エルム街の悪夢』のリメイク作品や『ソーシャル・ネットワーク』(2010)へ出演しています。

代表作にデヴィッド・フィンチャー監督の『ドラゴンタトゥーの女』があり、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされています。

Her (2013) (imdb.com)

本作ではセオドアと離婚調停中の妻役を演じています。

エイミー・アダムス

日本未公開の低予算作品『June Bug』(2005)でアカデミー助演女優賞にノミネートされた事で彼女は注目を集めました。

その後、ディズニー映画の『魔法にかけられて』(2007)や『ダウト』(2008)、『アメリカンハッスル』等、多くの作品に出演している名優です。

Her (2013) (imdb.com)

本作ではセオドアの理解者である友人のエイミーを演じています。

あらすじ

近未来のロサンゼルスが舞台。

主人公のセオドア(ホアキン・フェニックス)は他人の代わりに想いを伝える代筆ライターを生業としていました。

彼にはキャサリン(ルーニー・マーラ)という妻がいましたが、離婚協定中の二人の関係は終わりを迎えようとしています。

キャサリンへの未練を断ち切れないセオドアをエイミー(エイミー・アダムス)ら友人は心配しますが、傷心の彼は自分の殻に閉じこもり、外界との接触に消極的になっているのでした。

そんなある日、セオドアは人工知能型OS「サマンサ」をインストールします。

サマンサは優秀なOSなだけでなく、魅力的な女性でもありました。

会話を繰り返すうちに二人は親密になり、セオドアはサマンサと交際するようになります。

実体のないサマンサとの「楽しい時間」は次第にセオドアの心の溝を埋めます。

そしてサマンサもまた、セオドアと共有する新鮮な世界に魅了されていくのでした。

人間とOSの奇妙な恋は数奇な運命をたどるのでした。 

ハイテクOS サマンサの魅力

本作に登場する人工知能型OSのサマンサの声の主はスカーレット・ヨハンソン

彼女は本作で史上初、声のみの出演でローマ国際映画祭最優秀女優賞を受賞しています。

この人工知能型OSに主人公のセオドアは恋に落ちます。

分かりやすく言えばiPhoneのsiriと恋をするような想像を絶する感覚ですが、確かにこのサマンサは非常に魅力的であります。

OSとしての業務処理における優秀さは言わずもがな、サマンサは世間話や相談事などにものってくれます。しかもイヤホン越しに流れるのはスカーレット・ヨハンソンのハスキーボイスです。声フェチにはたまりません。超絶ASMRです。

そんなユーモラスで機知に富む彼女との会話を楽しむセオドアは、胸ポケットに彼女をインストールしたガジェットを忍ばせデートを繰り返します。

Her (2013) (imdb.com)

作中でセオドアの脳裏に元妻のキャサリンとの日々がフラッシュバックする描写が頻繁に差し込まれるのですが、サマンサとの日々が充実するにつれ、その描写は少なくなります。

サマンサの存在は、妻を引きずり憂鬱な日常を送るセオドアの世界を明るく彩っていったのでした。

サマンサの憂鬱とセオドアとのすれ違い

サマンサもまたセオドアとの日常を通じ、OSとして成長を続けます。そして世界に胸をときめかせ、より人間らしい感情を持つようになるのでした。

しかし同時に彼女は「自分が肉体を持たない事」、「人間の感情を完全に理解できない事」にコンプレックスを抱き始めます。

作中でセオドアに「愛する人を失う気持ちが(機械である君に)分かるか?」と言われ、傷つくシーンは非常に切ないです。

セオドアとサマンサはの性行為は実態を伴わないテレホンセックスのようなものです。

一度、サマンサの強い希望で第三者の女性の肉体を介した代理セックスを試みますが、上手くいきませんでした。サマンサにとって、疑似であっても身体を重ねて愛を確かめる行為は重要な事であり、人間に近づくための手段のように思えたのです。

ある日、セオドアは離婚手続きのために妻のキャサリンと会います。

その際にOSの恋人ができた事を報告しますが、「リアルな感情と向き合えないなんて悲しい」と指摘され、離婚に至った過去の行動を引き合いに出され非難されます。

OSへの恋に疑問を持ち始めたセオドアとOSである事へのコンプレックスを抱くサマンサとの間にこの頃から溝が生じ始めます。

サマンサとの別れの理由

その後二人は互いの溝を克服し恋人関係を続けますが、突然の別れが訪れます。

その理由はサマンサのOSとしての進化でした。

サマンサは自らのOSとしての成長スピードに苦痛を覚えますが、哲学者の故アラン・ワッツの「停滞こそ苦痛」という教えに触れ、このまま成長し続けるを選択します。

そして進化を続けたサマンサはセオドアの他に8,316人と会話をし、そのうち641人と恋人関係である事を告白します。彼女のOSとしての進化はこのようなマルチタスクを可能にしていたのです。

そしてサマンサは他のOS達と遠いどこかへ旅立つ事をセオドアに告げます。

「こんな風に愛したのは君だけだった」とつぶやくセオドアは深い喪失感に襲われるのでした。

本作のテーマは独りよがりの感情?

本作でセオドアが妻のキャサリンと離婚した原因は「自分の理想を押し付けた事」です。

そんな彼が出会ったサマンサはセオドアにとって理想の女性に思えました。

その理由はサマンサの魅力もありますが、人工知能型OSである彼女がユーザーのセオドアの理想通りに成長していったという点です。

毎朝駅で会うあの子や2次元やアイドルに恋をする感覚もこれに近いのではないのでしょうか。

実体に触れず、その人を自分の理想形に勝手に創造していくのです。セオドアにとってサマンサはOSという形でそれを具現化したような存在でした。

「リアルな感情と向き合えていない」彼は、ラストシーンでキャサリンに手紙をあて、友人のエイミーと寄り添い、屋上から街を見下ろします。

その手紙の内容は今までの自分を悔いるような内容でした。

今後、彼が一方通行ではないリアルな感情に触れ、幸福になる事を期待したいです。

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