解説・感想『ザ・フォーリナー 復讐者』ジャッキー史上もっともシリアスな復讐劇?

制昨年2019年
制作国イギリス/中国
監督マーティン・キャンベル
主な出演者   ジャッキー・テン
ピアース・ブロスナン
チャーリー・マーフィー   
上映時間114分
総合評価7/10

作品概要

『007ゴールデンアイ』(1995)、『007カジノロワイヤル』(2006)のマーティン・キャンベルが描く、アクション・スリラー。

ジャッキー・チェンと5代目ジェームス・ボンドのピアーズ・ブロスナンの2大スターが共演している。

コミカルな演技が特徴的なジャッキーだが、本作では“すべてを失い復讐心のみが残った孤独な男”を演じており、全体を通してシリアスな仕上がりとなっている。

あらすじ

ロンドンでレストランのオーナーとしてつつましい生活を送るクァン(ジャッキー・チェン)。平穏無事な生活を送っていた中、突然たったひとりの高校生の娘が無差別テロに命を奪われてしまう。クァンは復讐の怒りに煽られ、静かに爆発していく。彼は犯人を探すうちに、北アイルランド副首相のリーアム・ヘネシー(ピアース・ブロスナン)にたどり着く。ヘネシーは、官僚としての仕事で過去に抱えた問題に脅かされていた。クァンの犯人を追うあくなき執念が、昔アメリカの特殊部隊出身である事を浮き彫りにしていく。次第に明らかになっていく二人の過去。

敵か、味方か…孤独な男たちの戦いは、想像もしない結末へと向かっていく―。

映画『ザ・フォーリナー/復讐者』5月3日(金・祝)全国ロードショー (the-foreigner.jp)

キャスト

クァン・ノク・ミン(ジャッキー・チェン)

The Foreigner Official Trailer #1 (2017) Jackie Chan, Pierce Brosnan Action Movie HD – YouTube

ロンドンでチャイニーズレストラン「ハッピー・ピーコック」を営む60代の男。最愛の娘ファンが無差別テロの犠牲となり、やがて犯人への復讐に駆り立てられる。


リアム・ヘネシー (ピアース・ブロスナン)

The Foreigner Official Trailer #1 (2017) Jackie Chan, Pierce Brosnan Action Movie HD – YouTube

北アイルランドの副首相。過激派組織UDIに所属していた過去を持つが、現在はイギリスよりの穏健派であり、同志はそんな彼に不満を抱いている。

今回の無差別テロの犯人を知っているのではとクァンに脅しをかけられた彼は保身のため、UDI内でテロの実行犯を探す事となる。


ショーン・モリソン(ロリー・フレック・バーンズ)

The Foreigner – Fukushûsha (2017) (imdb.com)

ヘネシーの甥で元英国特殊部隊員。ヘネシーからテロの実行犯を探しと、クァンの始末を依頼される。ヘネシーからの信頼は厚いが、彼の妻とは不倫関係にある。

解説

娘を無差別テロで亡くしたクァンは警察に赴き、「犯人の名前を教えてくれ」と2万ポンドを差し出します。しかし警察も未だ情報を掴んでおらずクァンは門前払いを受けます。

いつまでたっても犯人を特定できない警察に痺れを切らし、クァンは独自に捜査を始めます。

そしてテレビで見かけた北アイルランド副首相リアム・ヘネシー (ピアース・ブロスナン)が元UDI(過激組織)の兵士だと知ると、犯人を知っているのではと考え、彼への接触を始めるのでした。

過激派組織UDIとは

中国・香港・日本以外で公開された国際版ではUDIはという名ではなく、”IRA”という実在するアイルランド民主主義者による私兵組織の名で描かれています。

“IRA”は所謂「北アイルランド問題」を巡り、イギリスから分離させて全アイルランドを統一の実現を目的とする組織でかつてはイギリスを敵視しテロ活動を頻繁に行っていました。

2005年のベルファスト合意による私兵組織の”武器放棄”により過激活動は終焉しておりますが、本作ではかつてのような闘争の復活を目指す分派が無差別テロを起こしたとし描かれています。

リアム・ヘネシーの過去と正体

かつてはUDIに所属し過激活動を行っていた人物。

現在は北アイルランド副首相という立場であり、UDIがイギリスへの不満を行動に移すような素振りを見せるとUDI構成員の恩赦を引き出す等、UDIとイギリス政府の両者間の和平バランスを保つような役割を担っています。

妻のメアリーとの関係は冷え切っており、彼にはマギーという愛人がいます。

The Foreigner – Fukushûsha (2017) (imdb.com)

クァンに「テロの犯人の名を教えろ」と事務所を爆破される脅しを受け、家族を連れ農場まで避難しますが、そこでもクァンの執拗な攻撃に悩まされます。

実際に彼も犯人を特定できておらず、元英国特殊部隊員の甥であるショーンに犯人の特定を急がせると同時に脅威となったクァンを消すよう命じるのでした。

クァンの過去と正体

ロンドンでレストランを営む60歳のクァンですが、その正体はかつてアメリカ陸軍省の特殊部隊に所属した優秀な兵士でした。作中で彼の過去について記された資料が登場しますが、その中には「ARVN(ベトナム共和国陸軍)」に所属していた事も記されており、ベトナム戦争中にアメリカ軍から戦地に派遣されていた事も示唆されています。

The Foreigner Official Trailer #1 (2017) Jackie Chan, Pierce Brosnan Action Movie HD – YouTube

又、タイの海賊に襲われ娘2人と妻を殺された辛い過去も明るみになります。

唯一の家族であったファンを殺した無差別テロに”UDI”が関与している事を知ると、元メンバーで北アイルランド副首相という大物となったヘネシーに犯人の情報を教えるよう迫ります。

なかなか犯人の名を聞き出せないクァンは、やがて過激な手を使いヘネシーに追い込みをかけます。

静かに怒りを爆発させる彼は、遂に実行犯の正体を暴くのでした…

感想 ネタバレあり

本作のジャッキー・チェンは”復讐者”という設定のため、いつもの笑顔を全く見せないシリアスな役どころでした。哀愁や孤独を抱きながら、復讐心に燃える老人という役柄を演じきったジャッキーの俳優としての実力を感じる1本でした。

テネシーが差し向ける部下と格闘や、森林でのショーンとの決闘をはじめとする要所でのアクションは健在であり、元工作員としてのスキルを活かした戦闘技術も本作の見どころとなっています。(森林での戦闘シーンは『ランボー』を彷彿とさせる場面もありました 笑)

鑑賞前はピアース・ブロスナン演じるテネシーが黒幕という設定なのかなと勝手に予想していましたが、彼は北アイルランド副首相という立場を守るためイギリスと過去の同志(UDI)の間で自己保身に奔走する男という役柄でした。

実際の黒幕でテロを指揮したのは過激派のリーダだった同志のマクグラスという男でした。

彼は穏健的なテネシーのやり方に不満を持っていました。このマクグラスの進める過激行動にはテネシーの妻のメアリーも加担しており、テネシーが信頼を置く甥のショーンとの不倫関係を通じ様々な情報を入手していた事が示唆されています。

自己保身に走るテネシーについても要所で過去の凶暴性が見え隠れし、最終的にショーンに妻のメアリーの殺害を命じる等の残忍性が描かれており、悪役として流石の存在感を放っていましたね。

作品的には「北アイルランド問題」や政治的な思惑が随所にみられるなど、単純なアクション映画
というよりはサスペンスよりの内容なのかなと思います。

ジャッキー・チェンとピアース・ブロスナン以外の脇役のキャラクターがあまり魅力的でなかったのが少し残念です。

全てを失った失意の中、復讐だけに縋るシリアスなジャッキー・チェンは新鮮でした。ジャッキー作品はほとんど鑑賞していますが、彼の新境地を見たような気がします。

コメント

  1. […] […]

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