『アバウト・シュミット』

作品概要

制作年     2002年 
制作国アメリカ  
監督アレクサンダー・ペイン  
主な出演者ジャック・ニコルソン
キャシー・ベイツ
ホープ・デイヴィス 等
上映時間125分
総合評価7/10

定年退職後、人生の虚無感に苛まれた男の再生を描くロードムービー。

本作でジャック・ニコルソンがゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞。

あらすじ ※ネタバレあり

勤め上げた会社を退職

主人公のウォーレン(ジャック・ニコルソン)は長年勤めた大手保険会社を定年退職します。

映画『アバウト・シュミット』より

ランドールという男との結婚を控えた一人娘ジーニーは遠く離れたデンバーで暮らしており、妻と仕事の喧騒を離れた定年後生活を送りますが、新たな生活に馴染めないウォーレン。

自分が誰からも必要とされない「無価値な人間」になってしまったのでは考える彼は偶然、CMで見たアフリカ支援プログラムを介し、タンザニアに住むンドゥグという6歳の少年の養父となります。

このプログラムでは毎月の支援金に手紙を同封するのですが、その内容は自分のポジションの後任者や妻や娘の婚約者への罵詈雑言、あるいは人生への不平不満といった内容であり、とても遠くに住む貧しいアフリカの少年に宛てるような文章ではありません。

彼は新生活のストレスを感じ、不平不満まみれの老害と化していました。

映画『アバウト・シュミット』より

妻の死と意外な事実の発覚

そんな空虚な引退後の生活を送っていたある日、妻が心筋梗塞で急死します。

悲しみに暮れ、荒れた生活を過ごすウォーレン。

思わず妻の残した衣服をクローゼットで抱きしめる人間味を見せますが、偶然発見した妻宛ての手紙から過去に自分の親友と浮気をしていたことが発覚。

怒り狂うウォーレンは妻の遺品をゴミ捨て場に投げ捨て、余生を楽しむため妻と購入したキャンピングカーで自らの人生を振り返り、娘の結婚式に出席するための旅に出ます。

ゆかりの地を巡るうちに、「自分は妻にとって理想の男であったか」と自問し、妻の浮気を許す等、精神的成長を見せるウォーレン。

途中、キャンプ場で知り合った既婚女性の優しさを勘違いし、キスを迫り絶句されるお茶目さを見せながらも、最終目的地のデンバーに到着します。

‟胡散臭い男”とシュミットが形容するランドールの家族とも対面しますが、その風変りな一族を‟低俗”と批判し、結婚を阻止する事を決意。

娘のジーニーを必死に説得しますが、今までろくに家庭を顧みなかったウォーレンの言葉に娘は全く聞く耳を持ちません。

そして式当日、意に反して花婿に感謝を示し、相手親族を称賛するスピーチを終えたシュミットは、ひとり、閑散とした自宅に帰ります。

映画『アバウト・シュミット』より

失意の帰宅と新たな希望

失意の中、自宅に到着したウォーレン。

何にもなれず、何も残せなかった自分の人生に失望するなか、山積みになった郵便物からタンザニアのンドゥグからの手紙を見つけます。

読み書きのできない彼の代わりに修道女が代筆した手紙には「ンドゥグがいつも貴方の幸福を願っている事」が書かれ、一枚の絵が同封されていました。

映画『アバウト・シュミット』より

見知らぬアフリカの少年が描いた絵を見て、シュミットが大粒のを流すというシーンで物語は幕を閉じます。

感想と考察

本作はジャック・ニコルソンの演技が見事としか言いようがありません。

コミカルなシーンやシニカルな描写も多いのですが、一線から退き、娘が手元から離れ、妻を亡くした男の孤独と哀愁漂う生活。

そしてどこか情けない佇まいを表現する演技は素晴らしいものがあります。

ジャック・ニコルソンなしではこの作品は成立しないのではと思えます。

ンドゥグの絵を見てウォーレンが涙を流すシーンには様々な考察があります。

孤独感と人生に失望した中で絵に救いを感じたという意見が多いのですが、個人的には自分の人生がンドゥグとの関係性に反映されている事に気が付き自責の涙を溢したのではないかと思います。

自分の幸福を願うンドゥグに自分の意見ばかりを手紙で押し付け続けていた。

自分の家族に対しても同じことを繰り返していたのではないかと考えたのではないでしょうか。

旅とは人生。旅は人を成長させるといいますが、最後に少し微笑んだウォーレンは今後、娘夫婦の幸せを願いながら幸せな余生を過ごしたと願います。

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