感想と魅力『BROTHER』兄弟をテーマにした血みどろのエンターテインメント

制作年     2000年        
制作国日本/イギリス
監督北野武
主な出演者北野武
オマー・エップス
寺島進
大杉連
渡哲也
上映時間114分
総合評価A

第57回ヴェネツィア国際映画祭特別招待作品。

あらすじ

ヤクザの山本(北野武)がアメリカに渡り、悪の道で成り上がっていく話です。

花岡組に所属する山本はその実力と存在感で組織の中で地位を築いていました。

しかし、敵対組織との抗争の中で組長の花岡が殺害され、組は解散する事となります。

山本には原田(大杉連)という兄弟分がいましたが、彼は組の解散後、敵対組織に傘下として参入することを選んだのでした。

敵対組織への参入後、原田は初仕事として山本の殺害を命じられますが、兄弟分の殺害はできず、「どこかに逃げ身を隠してくれ」と山本に頼みます。

山本に見立てられたホームレスが殺害された後、彼は弟を頼りアメリカに渡ります。

そこでヤクの売人に成り下がり、不良たちとつるみせこい商売をする弟と再会します。

Brother (2000) Trailer – YouTube

ある日、ヤクの元締めと金を巡った揉め事が起こります。逆らえるはずもないケンは無茶の要求に屈しますが、一部始終を見ていた山本は元締めの遣いをボコボコにします。

そして報復に来た人間も殺した挙句、元締めのボスを殺してシマを奪います。

この頃には日本から山本の舎弟をしていた加藤(寺島進)も駆けつけ、最終的には1次組織の幹部たちも皆殺しにし、シマを全て奪う事に成功したのでした。

せこいヤクの売買をしていたケンの不良グループはいつしか、日本のヤクザをベースに有数の組織に成り上がっていたのでした。

BROTHER (2000) (imdb.com)

更なる組織の勢力拡大を図り、日本人街を牛耳る大物 白瀬を傘下に引き入れます。

成長を続ける組織ですが、白瀬の過激なやり方はある巨大イタリアマフィアの反感を買い、全面的な抗争へとつながる事になります。

巨大組織を相手に次々とメンバーが殺害されていく中、追い詰められた山本は行動を起こすのでした。

『BROTHER』の魅力と見どころ(以下ネタバレあり)

作品を巡る3人のBROTHER

兄弟をテーマにした本作には、様々な形の「兄弟」が登場します。

ヤクザの兄弟分 原田(大杉連)

まずは、花岡組で兄弟分だった原田(大杉連)。

花岡組解体後、部下と自身の今後のために敵対組織に吸収されることを選択します。

山本は「親(組長)を殺した奴らの所に寝返るのか!」と怒りを露わにし、原田を怒鳴りつけますが、最終的に理解を示します。

原田は新たに所属した組から「山本の殺害」を命じられます。

その事を山本に話し、彼に遠くへ逃げるよう進言し、アメリカに渡る資金や偽造パスポートを工面します。

その際渡された「汚いバック」を山本はアメリカでも大切に使用しています。

組は解散しましたが、ヤクザの兄弟分としての絆は生き続けていたのでした。

新たに所属した組である程度の地位まで上り詰めた原田は外様であることを理由に祝いの席で不信感を口にされます。

「道具持ってこい」の怒号と共に自らの腹を裂き、潔白を証明する原田。

山本への義理を感じ続け、極道として半端な事は出来ないという覚悟を感じられる壮絶な場面でした。

腹違いの弟ケン(眞木蔵人)

山本の腹違いのであるケン(眞木蔵人)。

Brother (2000) Trailer – YouTube

アメリカに留学後は、日本食レストランを辞めヤクの売人を生業としていました。

悪そうな連中とつるんでいますが、少し気の弱い所もあり、根っからのワルという感じではありません。

山本が渡米してからは、兄の凶悪性に戸惑いながらも大きくなる組織のNo.2として山本を支えます。

但し、イタリアマフィアとの抗争の際には、死ぬ覚悟なく兄に言われるがまま逃亡する道を選びます。

組織のメンバー デニー(オマー・エップス)

ヤクを売りさばいていた不良集団の一人。

アメリカに来たばかりの山本から金を巻き上げようとし、返り討ちにされるかませ犬として登場します。

その後も山本に賭けでいかさまに遭い、60ドルを騙し取られたりと散々な扱いであったが、一緒の将棋を打ったり、冗談を言い合ったりと親密になります。

明るい性格だけでなく、母の誕生日会を開いたり、マメに電話をしたりと家族を大切にするデニーの人柄を気に入り、山本も彼をかなり可愛がるようになります。

Brother (2000) Trailer – YouTube

イタリアマフィアとの抗争の際は、唯一生き残り、山本と最後まで行動を共にします。

山本はデニーと結託しマフィアのボスを誘拐します。しかし、あえてボスを殺さずに、自らの手でデニーを殺した芝居を打ったうえでボスを解放します。

カバンを渡し、「お前は逃げろ」とデニーに逃亡を促す山本。

「汚いカバンなんてよこしやがって。細々とヤクの売人をやっておけばよかった」と恨み節を言いながらメキシコに向け車を走らせるデニー。

ふとカバンをみると、「いかさまで巻き上げた60ドル。後は利子 ― 。兄より」と書かれた手紙と大金が入っていました。

「Fuck you man… 」と涙ぐみ、「I love You Aniki」とつぶやくデニーなのでした。

人種の異なるデニーと山本の間には、いつしか兄弟のような絆が構築されていたのでした。

感想 

山本がヤクを売りさばく不良集団を巨大組織にしていく様は、(現実味はないかもしれませんが)非常に面白いです。

外国人が日本のヤクザ文化に戸惑う描写もコミカルですね。

本作はマフィアに追われた組織のメンバーが次々と命を落とし、最終的には覚悟を決めた山本がマシンガンでハチの巣にされるシーンで幕を閉じます。

この破滅に向かっていく様子と「兄弟」をテーマにした絆、バイオレンスが絶妙なバランスで混ざり合った良作でした。

又、組織が大きくなるにつれ、メンバーの服装も洗練されていくのですが、衣装デザインを世界的デザイナーのヨウジヤマモトが務めたそうでめちゃくちゃかっこいいです。

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